スマートフォンやタブレットでオススメの動画編集アプリ4選

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YouTubeなどの動画プラットフォームに限らず、昨今ではTwitterなどのSNSでも動画を見かけない日はありません。私も仕事に限らずプライベートでもパソコンで動画を編集することが多かったのですが、ちょっとした動画であればもっと手軽に作業したいと思いアプリをいくつか試しました。

検索すると動画編集のアプリはたくさんヒットしたのですが、動画にフィルターや音楽つけるだけのものなど、SNSで手軽に「映える」動画を作るような目的のアプリが多く求めていたものに中々たどり着けませんでした。

最終的に20個ほどのアプリを試したので、その中でも純粋な動画編集に特化しているアプリを厳選して紹介します。

iMovie(iOS)

iMovieは、iPhoneやiPadに標準インストールされているアプリです。シーンのカットやトリミング、シーンを繋ぐトランジションやテキストの挿入などのベーシックな編集機能の他に、テキストアニメーションのプリセットやピクチャー・イン・ピクチャー(以下、PinPと表記)、クロマキー合成(単色の背景を透過して他の動画や画像と合成する技術)といった機能も搭載しています。

細かな編集をするというより、ある程度型にはめるような編集手法となっています。たとえば、テキストはアニメーションに沿ったフォントが決められており、位置も中央か下の2パターンのみ。画像はキャンバスに合わせてリサイズされ全体が見えるよう自動的にスライドアニメーションが設定されます。また動画のテーマを選択すると、テーマに沿ったBGMやテキストアニメーションのプリセットなども用意されています。

特徴的な機能としては、「予告編」というテンプレート機能が用意されています。演出やシーンのカット割がされた絵コンテに、手持ちの素材やテキストを埋めていくだけで映画の予告編のような動画が簡単に作成できます。

書き出しサイズは「小360p」「中540p」「HD720p」「HD1080p」「4K」の5つが選択できます。

動画編集の知識がなくても動画が作りやすいように設計されています。BGMや効果音も標準で用意されているため、シンプルな動画の作成や入門として適したアプリです。

動画編集 Perfect Video(iOS)

Perfect Videoは私が長らく愛用していたアプリです。有料版と無料版があり、無料版でもベーシックな編集機能が揃っています。特徴的な機能として、iTunesからデータを読むことで手持ちのフォントデータをテキストに使用できます。また、シーン間を繋ぐトランジションのプリセットも40個以上と豊富に用意されています。

有償のPro版(買い切りで610円)ではモザイクなどのエフェクトやビデオのカラー調整、キーフレームアニメーションやPinP、クロマキー合成などさらに高度な編集も可能になります。

書き出しサイズは「中480p」「大540p」「HD720p」「HD1080p」の4パターン、形式は「MOV」「MP4」の2つから選択できます。またフレームレートや圧縮率の設定も可能です。

注意点として、シーンをカットやトリミングすると切り取った後のデータが保持される仕様になっています。そのため再編集性に乏しく、トリミング後に元の尺に戻したいといった場合は再度メディアを読み込んで編集する必要があります。また、タイムラインにレイヤー構造がないため、複数の画像やテキストを重ねるような複雑な編集には少し不向きなUIとなっています。

タイムラインを使った編集に慣れていると使いづらさを感じる部分もありますが、無料版でも十分な機能を備えており、有償版では安価ながらとても強力な機能を提供しています。

Adobe Premiere Rush(iOS、Android)

Adobe Premiere Rushはアドビシステムズ社がリリースしている動画編集アプリです。「Adobe Premiere Clip」という動画編集アプリもありますが、Adobe Premiere Rushへの移行がアドビシステムズ社からアナウンスされています。

ベーシックな編集機能だけでなく、テキストの装飾やビデオカラーのフィルターも搭載されています。とくにテキストは、高品質なアニメーション付きのスタイルが豊富に用意されています。

タイムラインはピンチイン・アウトで拡大縮小ができ、0.01秒単位での細かいシーン操作が可能です。動画・画像・テキストは4レイヤー、音声は3レイヤーまで重ねられPinPにも対応しています。

他のアプリにない大きな魅力は、Adobe Fontsから多数の日本語フォントが利用できる点です。他にも自動ボリューム調整や速度変更時のピッチ維持、字間の調整といった気の利いた機能も搭載しています。

書き出しは「Automatic」「720p Match Framerate」「720p 30fps」「1080p Match Framerate」「1080p 30fps」の5つのプリセットから選択できます。

データはクラウドに自動的に同期されるため、iOSやAndroidだけでなくMacやWindowsなどさまざまな端末から編集できます。デスクトップ版の動画編集ツール「Adobe Premiere Pro」とも互換性があり、より高度な編集も可能です。

価格はサブスクリプションで月980円となっていますが、Premiere ProかCreative Cloudコンプリートプランのライセンスを保有していれば追加費用なしで利用できます。ライセンスがない場合でも、3回までの書き出しと2GBのクラウドストレージが試せます。

Write-on Video(iOS)

Write-on VideoはKdan社がリリースしている動画編集アプリで、カラフルなUIが可愛いです。タイムラインにシーンカットのボタンが配置してあるのが特徴的で、カット割りの作業がスムーズに行えます。

ベーシックな編集機能に加えアニメーション付きのステッカーや、フリーハンドで描いた画像やWebサイトをクリップした画像を貼り付けられたりとユニークな機能を多く搭載しています。

PinPやクロマキー合成には対応しておらず、書き出しについてもサイズや画質の設定はありません。また、操作を戻す機能がない点は少々不便です。

基本的に無料で使用でき、App内課金でステッカーやテキストアニメーションの追加や、クラウド機能が使えるようになります。

どのアプリを選択すればいい?

アプリそれぞれに特色があるので、以下のように使い分けるとよいでしょう。

  • 本格的な編集をしたい:Adobe Premiere Rush
  • 費用を抑えたい:Perfect Video、Write-on Video
  • 4K動画を作りたい:iMovie

私はここ数年動画編集に携わっていますが、モバイル端末のスペックがドンドン高くなっていることもあり作業ストレスが徐々になくなってきています。Adobe Premiere RushやWrite-on Videoではクラウド機能があり、パソコンやモバイル端末間でのデータ連携もリアルタイムで行えます。場所を問わず作業できるようになるため、スマートフォンやタブレットでの動画編集の需要はますます増えていくでしょう。

加賀 篤史

クリエイティブディレクター。最近はゲームアプリの企画/ディレクション/UIデザインなどを主な業務としています。個人プロジェクトとしてActionScript 3.0ライブラリ「Tween24」等を開発。

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