パソコンを使わず、スマートフォンやタブレットでRAW写真を編集したいと思った人も多いのではないでしょうか。今年の秋から、iOSでの写真のRAW編集が便利になってきています。この記事では新しいiPad Pro 2018と写真編集アプリ「Adobe Lightroom CC」の使い勝手を紹介します。
この記事のポイント
- iPad Pro 2018でRAW写真の取り込みが楽になった
- 今後はiOSでのRAW編集が熱い
- RAW編集にはLightroomがオススメ
カメラからRAW写真を取り込む最適の方法とは
デジタルカメラの写真を取り込むには、いくつか手段があります。それぞれのメリットとデメリットを以下の表にまとめました。オススメは最新のiPad Pro 2018を使ったUSB接続です。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
USB | カメラとiPadをケーブルでつなぐだけ。 | |
取り込みが高速 | 対応しているのがiPad Pro 2018だけ | |
Wi-Fi | ケーブル不要 | RAW転送には遅い |
Wi-Fi切り替えが手間 | ||
専用アプリ起動の手間 | ||
カードリーダー | 取り込みが高速 | カメラからカードを抜き、 |
iOS端末にリーダーを刺す手間 | ||
TransferJet | ケーブル不要 | |
高速な転送 | 開発がオワコンかも・・・ |
前バージョンのiOS 11まではRAWを読み込むのは不便だった
いままではRAW写真を取り込むにはお世辞にも便利とはいえませんでしたが、2018年の秋から状況が改善しています。
9月にリリースされたiOS 12でRAWファイルの読み込み速度が改善。iOS 11では使い物にならないレベルでしたが、iOS 12ではストレスのない速度で読み込めるようになりました。次の動画のように速度がまったく違います。
USBケーブルでiPad Proに取り込める
iPad Pro 2018の最大の利点はUSBケーブルでカメラと接続できること。多くのデジタルカメラが対応しています。
SONY α7R Ⅲ
(姉妹機のα7 Ⅲは写真を読み込めるはず。動画はα7R Ⅲでは取り込めません)
SIGMA dp1 Quattro
(姉妹機のdp0Q, dp2Q, dp3Qも読み込めるはず)
来年のiPhoneもLightning端子ではなくUSB-C端子に対応するといいですね。
SDカードリーダーの読み込み速度
SDカードにはUHS-Ⅱといった高速読み出し可能な規格があります。UHS-Ⅱに対応したカードリーダーは、SONY α7RⅢに直接接続するより高速に写真を取り込めました。カメラの機種によるかもしれませんが、写真枚数が多いときはカードリーダーを使った方がいいかもしれません。
iPad Pro 2018がUSB-Cに対応したおかげで、UHS-ⅡのSDカードの読み込みに対応したわけです。
写真現像にLightroom CCを使おう
iOSデフォルトの写真アプリでもRAW写真を扱えますが、思い通りの編集をするには専用アプリがオススメです。RAW編集にはさまざまなアプリがあります。
種類 | メリット |
---|---|
写真アプリ | iCloud同期が便利 |
Lightroom CC | クラウド同期が便利。Classicに似たプロ向けな機能が豊富 |
Snapseed | Google製。基本的な写真編集機能が揃っている。写真ライブラリに直接保存できるのが利点 |
HashPhotos | 基本的な写真編集機能だけでなく、位置情報や撮影時間の編集もできる |
MaxCurve | トーンカーブ主体の写真編集アプリ |
ProCamera | プロ向けな機能が豊富。iOSカメラの撮影機能が強力 |
この記事では、Adobe Lightroom CCを使った方法を紹介します。
Lightroomはもっとも普及した写真現像ソフトの1つで、Classic版(Lightroom Classic CC)と無印CC版(Lightroom CC)の2種類があります。LightroomのClassic版はデスクトップのみで、無印CC版はデスクトップとモバイルの両方で使えます。無印CC版はClassic版より機能が絞られていますが、クラウドの同期機能ができるといった利点があります。
現像手順
写真の現像手法は人によってさまざまです。ここではなるべくアプリによるおまかせな手法を紹介します。
写真を取り込んだら、プリセットで大まかな雰囲気を選びます。風景やポートレートなどシチュエーションで判断します。
▲オリジナルの状態
▲「Adobe風景」プロファイルを適用。全体的にメリハリのついた写真になります。
次に「Auto」で全体的なバランスを整えます。「Auto」は便利な機能で、人工知能のAdobe Senseiによって最適なパラメーターにしてくれます。
▲空が青くなりバランスが整いました。リアリティー重視ならここで完成でいいかも
あとは好みで雰囲気を整えます。私はハイキーな写真が好きなので露出をあげつつコントラストを下げてみました。ホワイトバランスを青めにして、映画風な感じにします。これで完成です。
▲思いっきり雰囲気重視で現像
Lightroomの活用手段
他にもAdobe Lightroom CCを使った作例を紹介します。
かすみを除去。飛行機から撮影によってかすんでしまった景色をくっきりにしました。
夜景の写真。夜景はカラー編集の自由度が高い被写体ですね。
ネガフィルムの取り込み。ネガティブは「反転」を示すので、トーンカーブで明暗を反転させるとネガフィルムから通常のカラーが復元できます。
傾き調整。ボタン1つで自動的にまっすぐになります。
まとめ:写真管理にスマホ・タブレット
写真を見返すのに、パソコンよりもスマホやタブレットのほうが便利だと思ったことはないでしょうか。今後はスマホやタブレットで写真編集をする人が増えるかもしれません。
iPad Proを写真編集に使う利点
デジタルカメラで撮影した写真をパソコンに取り込むのも面倒ですし、インスタグラムに投稿するにはスマートフォンに転送する必要があります。
iPhoneの国内シェアはスマートフォンの約半数。iPadやiPhoneで写真編集をすると、エンドユーザーのディスプレイに近い作業環境で写真編集ができるといった利点があります。
パソコンとタブレットの使い道の違い
細かい写真編集はiOSデバイスよりパソコンのほうが向いているので、プロ用途はパソコン、カジュアル用途ではスマートフォンやタブレットとワークフローが棲み分けされていくかもしれません。
スマートフォンやタブレットだけで作業ができる時代に一歩近づきました。今後も快適な写真編集を探っていきます。